テリー伊藤の唐揚げ店はなぜ激減?大量閉店の真相と2026年現在
黄色い看板にトレードマークのスーツを着た等身大パネル。コロナ禍の街中で突如として急増し、外食シーンを席巻したのが、タレントのテリー伊藤氏を前面に押し出した唐揚げ専門店「から揚げの天才」でした。居酒屋大手ワタミが起死回生の一手として送り出し、飛ぶ鳥を落とす勢いで出店を重ねた光景を鮮明に覚えている方も多いはずです。
しかし、最盛期には全国で100店舗を優に超えていた同店は、その後急速な閉店ラッシュに見舞われました。かつて日常的に目にした街角の店舗が次々と姿を消した背景には、単なる流行り廃りだけでは片付けられない飲食業界の構造変化と、ワタミの事業戦略の転換がありました。急拡大から激動の再編期を経て、2026年を迎えた現在の営業状況と真相を深掘りします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:最盛期に100店舗以上を展開した「から揚げの天才」は、唐揚げブームの終焉と原材料高騰により大幅に店舗網を縮小した。
- 要点2:大量閉店の背景には、テイクアウト需要の減退だけでなく、低価格帯を維持できなくなった価格改定や競合激化がある。
- 要点3:2026年現在は採算重視の店舗展開へシフトしており、テリー伊藤氏の実家「丸武」伝統の玉子焼きを強みに残存店で営業を継続している。
【驚愕の店舗数推移】ピーク時の100店舗超から激変した実態
「から揚げの天才」は、2018年11月に東京都大田区の梅屋敷で実験的な1号店をオープンしたことから始まりました。本格的な拡大が始まったのは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い外食需要が激変した2020年以降のことです。店内飲食が制限される中、省スペース・少人数オペレーションで出店できるテイクアウト専門の唐揚げ業態は、時代のニーズに完璧に合致していました。
居酒屋事業で苦戦を強いられていたワタミは、強力なフランチャイズ(FC)展開をテコに驚異的なペースで出店を加速させました。2021年から2022年にかけての最盛期には店舗数が100店舗を突破し、一時は130店舗近くに迫る勢いを見せました。主要駅の前や商店街、ロードサイドに至るまで、テリー伊藤氏の人形が立ち並ぶ風景は日常の一部となっていたのです。
ところが、出店のピークを過ぎた2022年後半から潮目が一変します。月を追うごとに退店告知が相次ぎ、年間数十店舗ペースで撤退が進む異常事態へ突入しました。2024年から2025年にかけて不採算店舗の整理が一気に加速し、2026年現在の店舗数は最盛期から大幅に激減。都市部を中心とした選定エリアでの営業に留まっています。
から揚げの天才が大量閉店した決定的な3つの理由
なぜ、あれほど勢いのあったチェーンが突如として閉店ラッシュに追い込まれたのでしょうか。飲食業界の動向をつぶさに取材してきた専門家の間では、明確な3つの要因が指摘されています。
1つ目の理由は、唐揚げブームそのものの急速な終焉と過剰供給です。初期投資が少なく調理オペレーションがシンプルな唐揚げ専門店は、コロナ禍において異業種からの参入が相次ぎました。競合チェーンの乱立に加え、大手コンビニ各社によるホットスナックの強化、さらには大手すかいらーく系列の「から好し」やアークランド系列の「からやま」といった強力なライバルとの間で壮絶なパイの奪い合いが発生しました。結果として市場は完全に飽和し、顧客の日常的な選択肢から唐揚げ専門店そのものが薄れていきました。
2つ目の要因は、世界的な原材料価格の高騰と急激な円安の直撃です。唐揚げの主原料である輸入鶏肉(主にブラジル産・タイ産)の仕入れ価格が高騰しただけでなく、揚げ油、小麦粉、容器代、さらには店舗の水道光熱費までが一気に跳ね上がりました。薄利多売を前提としたビジネスモデルにおいて、原価率の上昇は直営店のみならず加盟店の経営体力を急速に奪っていきました。
3つ目は、行動制限の解除に伴う「外食への大回帰」です。店内飲食が解禁されたことで、消費者の関心は再び居酒屋やファミリーレストラン、専門レストランへと戻りました。家庭で食べる中食(テイクアウト)の需要が平時レベルまで落ち着いたことで、持ち帰りを主軸に据えていた店舗の売上高は一気に急落することになりました。
「まずい」という噂は本当か?ネットの評判と実力
ネット検索を行うと「テリー伊藤 唐揚げ まずい」といった刺激的な関連ワードが散見されます。しかし、実際の消費者の評価を客観的に精査していくと、単に味が悪いというよりは、ブランドの打ち出し方と消費者の期待値とのズレが見えてきます。
肯定的な意見としては、「揚げたてのサクサク感としっかりした下味が効いていて白米によく合う」「1個あたりのボリュームが大きくて食べ応えがある」という声が根強く存在します。特に、白醤油を使った「白」、黒醤油の「黒」、辛味噌の「赤」といったバリエーション展開は、食べ比べの楽しさを提供していました。
一方で、厳しい評価を下すユーザーの声を分析すると、以下の傾向が浮かび上がります。
- 冷めたときの油っぽさ:テイクアウトから時間が経過した際、衣が油を吸って重たく感じられるという指摘。
- 味付けの濃さ:単体で食べるには塩分やニンニクの風味が強すぎると感じる層からの敬遠。
- 仕上がりの店舗間格差:急激なFC拡大に伴い、揚げ時間や油の管理などアルバイトのオペレーション練度にバラつきが生じたこと。
また、同店のもう一つの看板メニューであるテリー伊藤氏の実家「丸武」の伝統を受け継ぐ玉子焼きに関しては、「甘めで出汁が効いており絶品」「唐揚げよりも玉子焼き目当てで買っていた」という高評価が目立ちました。唐揚げそのものが致命的にまずいというより、揚げ油の質やテイクアウト特有の経時劣化、そして急拡大による品質の均一化の難しさが、ネガティブな評判を生む下地となっていたといえます。
メニューと値段の変遷|コスパ崩壊が客離れを招いたのか?
「から揚げの天才」が初期に熱烈な支持を集めた最大の武器は、圧倒的なコストパフォーマンスでした。オープン当初の目玉商品だった「からたま弁当」は、大ぶりの唐揚げと名物の玉子焼きが入って税抜399円(税込430円前後)という驚異的な安さを誇り、ランチ難民となったサラリーマンや主婦層の心を鷲づかみにしました。単品の唐揚げも1個99円(税抜)で提供され、「安くてボリュームがある」ことが最大のアイデンティティだったのです。
しかし、前述した原材料や包材、物流費の歴史的な高騰により、この価格設定を維持することは不可能となりました。段階的な値上げを余儀なくされ、看板だった弁当の価格は500円台、600円台へと移行していきました。
価格が上がること自体は飲食業界全体に共通する流れでしたが、同店にとって痛手だったのは、「ワンコインで買える圧倒的なお得感」が失われたことで、コンビニ弁当や専門外食チェーンとの価格差が縮まった点です。「同じ500〜600円を支払うなら、店内で温かい定食が食べられるチェーンや、品数の多いコンビニ弁当で十分」という判断を下す消費者が増え、客離れに拍車をかける結果となりました。
ワタミと渡邉美樹会長の戦略転換|唐揚げ事業の縮小と現在地
「から揚げの天才」の栄枯盛衰を語る上で欠かせないのが、親会社であるワタミのトップ、渡邉美樹会長兼社長の経営判断です。コロナ禍初期、居酒屋事業が壊滅的な打撃を受ける中、渡邉氏は素早い決断力で「焼肉の和民」への業態転換や「から揚げの天才」の全国展開を断行しました。当時のスピーディーな危機対応は、経営危機を回避するための優れた戦術として高く評価されていました。
しかし、情勢の変化を見極めるスピードもまた同氏の特徴です。外食市場が回復に向かい、唐揚げ業態の収益悪化が明確になるやいなや、不採算となったFC店舗の契約終了や直営店の撤退を躊躇なく進める「損切り」を決断しました。無理に全国100店舗規模を維持して赤字を垂れ流すのではなく、居酒屋業態の再生やインバウンド(訪日外国人)向けの高付加価値レストラン、海外展開へとリソースを集中させる戦略へ舵を切ったのです。
2026年現在の「から揚げの天才」は、無謀な店舗拡大を完全にストップさせ、堅調な売上を維持できる優良立地や商業施設内、ロードサイド店舗などに絞り込んだ筋肉質な体制へと移行しています。全国どこでも見かけるチェーンではなくなったものの、熱心な固定ファンを持つ地域密着型の専門ブランドとして、静かにその役割を再構築しています。
【テリー伊藤の唐揚げ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:から揚げの天才は現在も店舗で買えますか?全滅したのですか?
A1:全滅はしていません。ピーク時の100店舗超から大幅に店舗整理が行われましたが、採算の取れる主要駅前やロードサイド、ショッピングモール内などの厳選された店舗で現在も営業を継続しています。利用前には公式サイトの店舗検索で最新の営業状況を確認することをおすすめします。
Q2:テリー伊藤氏は実際に経営に関わっていたのですか?
A2:テリー伊藤氏は会社の筆頭株主や経営執行役ではなく、ワタミとの提携による「大社長」というプロモーションキャラクターおよびメニュー監修の位置づけです。店舗運営やFC管理の実務はすべてワタミグループが一貫して手がけていました。
Q3:セットで有名な玉子焼きは、築地の「丸武」と同じものですか?
A3:完全に同じものではありません。テリー伊藤氏の実家である築地の老舗玉子焼き専門店「丸武」が秘伝の出汁や味付けを監修していますが、から揚げの天才向けに独自のレシピと製造ラインを用いて生産された専用の玉子焼きです。丸武伝統の甘みと出汁の風味をリーズナブルに味わえる仕立てになっています。
まとめ:ブームの狂乱が残した教訓と今後の展望
テリー伊藤氏のキャラクターとワタミの出店力、そして実家の玉子焼きという強力なコンテンツを掛け合わせて一時代を築いた「から揚げの天才」。その急拡大と大量閉店のドラマは、コロナ禍という非常事態が生んだ特異な需要と、急速な市場の正常化が織りなした現代飲食ビジネスの縮図といえます。
タレントの知名度と低価格を武器にロケットスタートを切ったとしても、ブームが去り、原価高騰の波が押し寄せれば、ビジネスモデルの抜本的な見直しは避けられません。しかし、大量閉店を経て生き残った現在の店舗は、立地と固定客に恵まれた実力店ばかりです。過剰な拡大路線を脱し、身の丈に合った規模で伝統の玉子焼きと揚げたての唐揚げを提供し続ける同店の挑戦は、外食産業が成熟期を迎えた今もなお、確かな教訓と存在感を放っています。 (出典: テリー 伊藤 唐 揚げ(Yahoo!ニュース))